自然渓流(ネイティブ)でトラウトをターゲットにして釣りを楽しむ上で、重要な仕事をしてくれるのが、扱いやすくキャストし易いスピニングリールです。トラウトが潜む渓流の淵や流心、カバー周辺をピンポイントで攻略しながら魚を掛けていくためには、スピニングリールのキャスティング精度と共にリーリング性能も高くなければなりません。
流れの中や深場にルアーを通し、水の動きを感じながらも、トラウト特有のシビアなバイトをキャッチするためには、ギア組みやシャフト構造も進化した、滑らかで静かな巻き心地を有するスピニングリールが目的を果たしてくれます。
また、細糸使用時において、不意な大型サイズとの対峙でも慌てないように、魚との駆け引きを制するドラグ性能も重要になってくるでしょう。そんな気難しそうで奥が深い釣りを楽しむために、リールメーカー様からは、トラウトゲームに適したスピニングリールが続々とリリースされています。
今回北の住人では、トラウト釣りをルアーゲームで快適に楽しめるスピニングリールを18選ご紹介して参ります。おすすめするモデルから最新モデル、トラウトアングラーのコミュニティメンバーが使用するおすすめモデルまで、使用感を交えながら紹介して参ります。併せて、リールメインテナンス製品も紹介していきます。
是非最後までご覧いただき、ご自身の釣りに適したスピニングリールをチョイスされて頂ければと思います。

トラウトルアーゲームに適したリールの選び方
自然渓流でのトラウトゲームでは、ロッドの性能もさることながら、キャストからキャッチまでの一連のアクションで、リール性能の良し悪しによって釣果に差が出てきます。思い通りに楽しく釣りを展開していくために、渓流トラウトゲームに適したリールスペックを見ていきます。
リールの大きさ(番手)
はじめに確認しておきたいスペックはリールの大きさ=番手になります。大きすぎず小さすぎず、渓流トラウトゲームで快適操作出来る大きさは2000~2500番クラスです。
個人の好みはありますが、ラインストック量やギア径、キャストの支点となるロッドとの本体バランスを考慮すると、2000番が最適番手になるでしょう。
今般リリースされているモデルには、番手モデルにコンパクトサイズ(型式にC表記)も設けられ、スプールサイズはそのままに、ボディーサイズを1番手落とした軽量モデルもリリースされています。
ドラグ構造
渓流トラウトゲームでは、軽量ルアーをスピニングリールでキャストするために、細いラインを使用して飛距離を稼ぐことが多くなります。PEラインを使用する場合であっても、ショックリーダーは細い号数(lb)でシステムを組み、根ズレ防止と共にカモフラージュ性を高めます。
細いラインで魚とファイトするために、ロッド或いはラインに掛かる張力を往なして分散していかなければラインブレイクの原因にもなってしまいます。不意なランカーサイズであれば猶更です。この張力を分散してくれるのがリールのドラグ機構です。
各リールメーカー様は独自のドラグ技術を搭載し、アングラーが魚との対峙で優位に立てるように、スピニングリールを進化させてくれています。ここでは、各社・各種のドラグ構造を見ていきましょう。
カーボンマトリックスドラグ
各社スピニングリールのドラグ構造として、基本になるドラグシステムになります。カーボンワッシャーとフェルトの複数組み合わせで、滑らかなスプールの滑り出しが可能になっています。
カーボンワッシャーのマトリクス仕様や、使用される油脂配合の組み合わせに各社独自技術を採用し、ドラグ調整範囲や初期滑り出しの軽さを実現しています。
リジットサポートドラグ
シマノが採用するドラグの補強構造。メインシャフトとスプールベアリングを2点支持にして、フラツキ補強が施されています。フラツキが減少することで滑り出しのバラツキが抑えられ、調整幅に順応するドラグシステムが構築されています。
オートマチックドラグシステム=ATD
ダイワが搭載するオートマチックのドラグ構造です。瞬時のアワセにはしっかりブレーキが掛かり、張力に応じてスムーズにラインが滑り出すオートマチック性能は、調整幅を広めに取りながらのゲーム集中に力を発揮します。中小型のスピニングリールでは、フェルト系ワッシャーを多く組み合わせることで、発生熱の分散や滑り出しの軽さを実現しています。
ギア比の選び方
渓流トラウトゲームでは、シーズンや時間帯、気温も条件に加わり、様々なリトリーブスピードを駆使しながら魚を誘わなければなりません。デッドスローから高速リトリーブまでを快適に操作できるギア比の選択も重要になってきます。
トラウトゲームでチョイスをおすすめするのはハイギア=HG、或いはエクストラハイギア=XH、XGになります。ギア比は概ね6.0:1前後になり、2000番クラスのスピニングリールでは、ハンドル1回転当たりの巻取り量も80cm前後になります。
ノーマルギアの選択も間違いではありません。こちらがお好みのアングラー様も多数おられるとは思います。しかし、キャストとリトリーブの回数が釣果に繋がるトラウトゲームにおいて、キャスト後のラインスラッグ(糸ふけ)の回収や早巻きでの高速リトリーブはストレスにも繋がり、バイトをキャッチする集中力にも影響を及ぼしてきます。
ギア比選択はよく考慮されることが重要です。リール購入後の満足度を上げるためにも、ご自身のフィッシングスタイルに合わせたギア比を選択していきましょう。
渓流トラウトゲーム向きスピニングリール18選のご紹介
ここからは、渓流でのトラウトゲームに適正高いスピニングリールをハイスペック、ミドル、ハイバリューモデルに分類してご紹介していきます。
タックルのレベルを上げたい方、リールの買い替えをお考え中の方、これから渓流トラウトゲームにチャレンジされたい方には必見です。
①大きさ(番手)、②重量、③ギア比、④総評を記載して参りますので、選択のご参考になさっていただければと思います。
渓流トラウト向きハイバリューモデルのスピニングリール8選のご紹介
【ダイワ】フリームス FC LT2000S-XH 2021年発売
①2000 ②185g ③6.2:1
④総評 ダイワがリールに採用する最新技術と最新仕様のマテリアル(材料)を惜しげもなく詰め込み、フラッグシップにも匹敵する回転性能と軽量化を実現した、お買い求め易いスピニングリールです。トラウトからソルトでのライトゲームまで、手広く使用出来、静かな巻き心地と軽い巻き性能で、トラウトのショートバイトをしっかりキャッチしてくれます。
【ダイワ】カルディア FC LT2000S-H 2021年発売
①2000 ②175g ③5.8:1
④総評 上記紹介のフリームスと比較し、マイルド+ライトウェイトに位置するモデル。巻き取りの速さを生かして、渓流域でのネイティブトラウトにオススメになる一台です。滑らかな回転がより長く続くタフデジギアも搭載し、静かで軽快なリーリングの中に、バイトを得るチャンスが上がります。
【アブガルシア】Revo ALX THETA 2000SH 2020年発売
①2000 ②200g ③6.2:1
④総評 巻き出しの軽さと、Friction-Free構造によるノイズレスな感覚で、リーリング中の違和感やショートバイトを拾いやすい設計仕様です。2WAY DRAGも搭載され、異なるシチュエーションやターゲットになる魚の強さに合わせて、ドラグ仕様を組み替えることが出来る便利なモデルです。
【アブガルシア】ROXANI 2000SH 2018年発売
①2000 ②206g ③6.2:1
④総評 ハイバリューモデルに似つかわしくない、DURAMETAL一体アルミボディで歪とノイズレスを実現した静粛感が際立つ仕様。こちらも2WAY DRAGを搭載し、多用途に渡る使用領域を堅持します。バスプロも愛用する性能を保持しながら、この価格はお買い得感満載です。
【シマノ】アルテグラ C2000SHG 2021年発売
①2000 ②185g ③6.1:1
④総評 上位モデルから受け継いだ最新機構を惜しみなく搭載し、ワンピースベールのトラブルレスと、ロングストロークスプールのキャストフィーリングが向上した快適モデルです。ステラから受け継がれるマイクロモジュールギアIIは、ヌルっとした巻きの軽さも継承されています。
【シマノ】ナスキー C2000SHG 2021年発売
①2000 ②210g ③6.0:1
④総評 ローコストモデルの代表格であったナスキーも、幅広いアングラーに満足してもらえるハイパフォーマンスモデルとして再誕しています。サイレントドライブによる静粛性と滑らかな巻き心地、AR-Cスプールによるライン放出性も相まって、キャスティングゲーム全般に対応出来るバーサタイル性が向上しています。
【シマノ】ミラベル C2000SHG 2022年発売
①2000 ②180g ③6.0:1
④総評 ボディ各所の大型パーツにCI4+を採用し、ローコストモデルの枠を超えた凝縮感と軽量化が際立つハイギアモデル。サイレントドライブによるスムーズな上下運動とイナーシャの抑制は、ルアーアクションにおいてのリーリングコントロールにベストな働きを見せてくれます。
【テイルウォーク】SPEAKY 2000HGX 2020年発売
①2000 ②210g ③5.2:1
④総評 漆黒ボディーの剛質感に加え、上品な巻き心地が印象深いスピニングリール。スムーズな巻き上げ感は、心臓部に硬質マテリアルで加工されたメインギアが配置されているため。歪の発生が一切なく、巻き出しから巻き終わりまで、或いは魚がヒットしても滑らかな回転は失わない性能を持っています。
渓流トラウト向きミドルスペックのスピニングリール6選のご紹介
【シマノ】カーディフ CI4+ 1000SHG 2018年発売
①1000 ②170g ③6.0:1
④総評 トラウトゲーム専用設計になるカーディフは、1000番台が渓流から小河川、エリアゲームのオールラウンダーになります。流れの中を通すリトリーブでも素早い立ち上がりを見せ、不意な大物とのファイトでも、強固なHAGANEギアが巻きのパワーを補ってくれます。
【シマノ】ヴァンフォード 2000SHG 2020年発売
①2000 ②150g ③6.1:1
④総評 キャスティングゲーム専用リールとして、シマノのスピニングモデルに2020年から新たに加わったシリーズです。ローターがマグナムライト仕様に設計されていますので、巻き出しが非常に軽いのが印象的です。この繊細なフィーリングを活用し、テクニカルなルアーコントロールを実現できます。
【シマノ】ストラディック C2000SHG 2019年発売
①2000 ②185g ③6.1:1
④総評 スピニングリールの信条である巻き・耐久性・飛距離が着実に進化を遂げているシリーズになり、トラウトゲームの世界でも、その操作性の豊かさからファンが多いモデルになります。ネイティブトラウトからライトゲームまでターゲットは多岐に渡り、ルアーゲームを高次元で楽しむことが出来るリールです。
【ダイワ】ルビアス FC LT2000S-XH 2020年発売
①2000 ②150g ③6.2:1
④総評 ルビアスの真骨頂である軽量ボディーは、渓流トラウトゲームにもベストマッチし、キャストの繰り返しによるストレス反動も確実に抑えられます。ZAIONモノコックボディーの耐久性と硬質感、タフデジギア採用によるノイズレスな回転性能は、ショートバイトが多発するトラウトゲームにおいて最大の武器になるでしょう。
【アブガルシア】ZENON 2000SH 2021年発売
①2000 ②145g ③6.2:1
④総評 アブガルシアからのリリースモデルではフラッグシップになる1台。2000番台のスピニングリールとしては最も小型になる左右非対称ボディーを持ち、絶妙なリーリングバランスを保持します。圧巻なのはC6 V-Rotor搭載による低イナーシャ性にあり、止めたい位置でピタリと止めることが出来ますので、リトリーブコントロールで他者に差を付けることが出来るリールです。
【アブガルシア】REVO PRM 2000SH 2016年発売
①2000 ②183g ③6.2:1
④総評 Abu Works SP Kitでの多彩なスプールカスタイマイズが可能になる、耐久性高いトラウトゲーム向きのスピニングリールです。高強度アルミ鋳造合金を採用したボディ構造は、軸心がぶれることなく最適なギアフィーリングの向上に貢献し、滑らかな巻き上げ感と共に、プレッシャーが掛かった時のスムーズなファイトでも力を発揮します。
渓流トラウト向きハイスペックモデルのスピニングリール4選のご紹介
【ダイワ】イグジスト LT2000S-H 2022年発売
①2000 ②155g ③5.8:1
④総評 初めて巻いた時の感触は忘れません。徹底的にイナーシャが抑えられた最新ギア性能と、使用するのが惜しまれる全体の造形美は、ダイワの最高の技術が詰め込まれています。トラウト全般からバスフィッシング、ソルトでのライトゲームからエギングまで、高次元での適応能力とドラグ幅を駆使して、過酷な使用環境にも耐えうる仕上がりです。
【ダイワ】ルビアス エアリティ FC LT2000S-H 2021年発売
①2000 ②145g ③5.8:1
④総評 ダイワのスピニングリールの2トップの一角を務めるエアリティ。フルメタル・モノコックボディを纏ってイグジストを超える軽量ボディーと、エンジンプレートに鎮座する静粛且つパワフルなギア組で、トルクフルでスムーズな巻きを体感できます。ロッドとの一体性を求めるのであれば、是非こちらのエアリティがおすすめです。
【シマノ】ヴァンキッシュ C2000SHG 2023年発売
①2000 ②145g ③6.0:1
④総評 低慣性モーメントに拘り、緻密なルアーコントロールを要求したいアングラー様には最新のヴァンキッシュをおすすめします。手に取って数回回しただけでステラとの違いの差が分かるほど、MGLシリーズのフラッグシップが体感できます。ブレないローターの上下運動と、その中で極めた軽量な質感はゲームコントロールを確実なものにします。
【シマノ】ステラ C2000SHG 2022年発売
①2000 ②170g ③6.0:1
④総評 ステラの絶対的評価は、小型になればなるほど精密さとトータルバランスが如実に表れ、バーサタイルに使用できる2000番クラスで味わえます。他機種との圧倒的な違いはギア歯面の設計と製造技術工程にあります。寸分狂わぬギアの噛み合わせから生まれるヌルヌル感は、一瞬のイレギュラーなラインテンションを感じ取り、釣果アップに確実に貢献してくれます。
更に気になるスピニングリールが御座いましたら、下記↓↓↓↓のECサイトから検索頂ければ、お気に召すリールが見つかるかも知れません。
スピニングリールのお手入れ方法
リールは完全なる精密機械です。高価になればなるほど、大型に成ればなるほど精密具合や精度が増していきます。管理人は精密機器の設計開発を本業としておりますので、その観点から最低行いたいお手入れ方法をご紹介します。
実績としては2007年式メタニウムと2003年式ツインパワーは、今だメインフィッシングギアとして現役で活躍してくれています。
では、以下に箇条書きで説明していきます。
・メンテナンス頻度は釣行時毎回行います。例えば、3日連続で釣行する場合、1日毎行うようにしましょう。この積み重ねが、高価なリールを正常な状態で維持するコツです。ロッドも同じです。
・ドラグを緩めてスプールを外します。その後、手で分解出来る箇所は、しっかり分解してから真水(無ければ水道水)で洗浄します。
・その後、日陰干しで完全乾燥させます。日向は厳禁です。急激な水分蒸発で、水に含まれているカルキやカルシウムが部品上で結晶化してしまい、固着や異音の原因になります。また、固着していた異物が剥がれ落ちて、ベアリング内部やギア類に噛みこみ、動作不良の原因にもなります。
・乾燥後、綿棒を使って、細部やベール周辺、回転部を乾拭きしますが、けば立った糸くずは内部に残さないように注意が必要です。
・乾拭き後、リールメーカー純正のグリスとオイルで注油を行います。高速回転するシャフトを支持する両ベアリング(スプールシャフト含む)にはオイルを注油、ハンドルノブや低速回転部はグリスを塗布するようにしましょう。狭い箇所には、ティッシュペーパーやピンセット先端に少量付けて回転部を回してオイルを送り込みます。いずれも、油膜が出来る程度のほんの少量にします。注油しすぎると、逆に異物やゴミを呼び込んでしまいます。
・ラインローラー部(内部にベアリング有)は、綿棒や細く絞ったティッシュペーパーで綺麗に乾拭きだけにします。この部分は、一番外に面している部分ですので、先にも述べたように、注油してしまうとゴミや異物を呼び込み、かみこんでしまいますので、注油は要注意です。
・その後、元通りに組み上げて、回転部を回して、異常が無ければ終了です。その後はリール収納ケースや個別の収納BOXに保管し、ゴミの付着を防ぎましょう。
ばらして、組み上げる自信がない方は、スマホなどで動画を取りながらばらして、逆の手順で組み上げれば問題ありません。
各メーカー様の純正注油をご紹介
ここからは、リールのメインテナンスに最適な、メーカー純正の油脂を紹介して参ります。特に潤滑系の油脂に関しては、別な成分が混合されると本来持っている被膜性や浸透圧に変化が生じますので、リールメーカー別に、同成分になる油脂を使用されることをおすすめします。
【ダイワ】リールガード スプレーセット グリス オイル 2009年発売
【ダイワ】リールオイル2 2008年発売
【ダイワ】ダイワSLPワークス メンテナンスグリス104 2018年発売
【シマノ】リールメンテスプレー SP-003H 2005年発売
【シマノ】スピニングリール ドラググリス ACE-0 DG01 2014年発売
【シマノ】純正 サービス用 グリス各種 2019年発売
【アブガルシア】Abu Reel Grease 2016年発売
【アブガルシア】Abu Garcia Maintenance Kit 2016年発売
本記事のまとめ
今回の記事では、渓流トラウト釣り用スピニングリールの詳細を紹介してきました。
今記事では、
①トラウトルアーゲームに適したリールの選び方
②渓流トラウトゲーム向きスピニングリール18選のご紹介
③スピニングリールのお手入れ方法
として纏めてまいりました。
以上をご参考になって頂き、自身に適したスピニングリールを選択頂ければと思います。
リール説明を更に詳しく知りたい方は?
ページ最下部に「お問い合わせ」項が御座いますので、そちらからご連絡頂ければ、少々お時間を頂いた上で、調査、確認後にご回答いたします。
それでは、このブログをご覧になって頂いた皆様が、よりよいフィッシングギアを購入されて、自然と楽しく遊んでくださる事を願って、次回の商品紹介の記事執筆に入らせて頂きます。楽しみにお待ち願えれば幸いです。
コメント