多くのアングラーが待ち焦がれた、ダイワハイパフォーマンススピニングリール第二の刺客、2024年モデルのセルテートが、満を持して2月から販売開始されました。セルテートは、歴代モデルから代々継承されるREAL FOURコンセプトを纏い、20年来の歴史と実力を構築しながら、更に大幅なブラッシュアップが図られた、最新鋭モデルとして新たにラインナップされています。
同時期にシマノから2024ツインパワーもリリースされ、実力伯仲の対抗馬として人気を分け合う仲ですが、2024年モデルのセルテートは、ツインパワーに勝るとも劣らない機能と強さを引っ提げ、装いも新たな方向性が導き出されています。
ダイワスピニングリールのトップに君臨するイグジストを見据えるセルテートは、今回どんな進化を遂げているのか、徹底考察で機能性を分析していきましょう。
2024年セルテートに搭載される主力最新技術とREAL FOURの解説
2000年代初頭に玄人好みで誕生したセルテートも、カスタムバージョンを加えると、2024年モデルで早くも6代目のシリーズに到達しています。セルテートは、フラッグシップモデルのイグジストよりも先に生を受け、どの世代でも強さと耐久性が前面に押し出されたタフネスリールとして君臨してきました。
主流大手リールメーカーには、多くのハイパフォーマンスなスピニングリールが出揃っていますが、その中でも業界一二を争う技術保持のダイワの中で、REAL FOURコンセプトから見られる、セルテートの性能を噛み砕いて分析していきましょう。
REAL FOURは、スピニングリールにあるべき性能を突き詰めるための設計思想。4つの性能は以下の通りです。
・REAL ENGINE＝「圧倒的なパワー、シルキーな回転を誇る駆動性」
・REAL CONTROL＝「実釣での高い実績を積んできた本物の操作性」
・REAL ENDURANCE＝「時間を越え、使い込んでわかる耐久性」
・REAL CUSTOM＝「自分の最適空間を作り上げるカスタマイズ」
REAL ENGINE＝リアルエンジン
巻き上げパワーを高効率に長期間維持するために、セルテートには「サイレントオシレーション」が施されており、正確なスプールの上下動を実現しながら、巻き上げ伝達パワーの精度と効率アップが図られています。
ダイワのハイパフォーマンスモデルのスピニングリールには、強い巻き上げパワーを効率化させるために、高負荷時に発生するボディのたわみ・歪みを抑制させる、ダイワ独自の最新テクノロジーであるモノコックボディが採用され、セルテート2024年モデルも例にもれず、剛性を伴うパワーの効率化が大幅にブラッシュアップされています。
組み込まれる大口径のエンジンプレート・シャフト類もアルミパーツが採用され、アルミ製のフルメタルモノコックボディとの相乗効果によって、心臓部である内部構造のパワー出力を最大限引き出しています。これらの効果により、元よりパワー重視のセルテートは、更に強いスピニングリールとしてトップの座に君臨していく事になります。
REAL CONTROL＝リアルコントロール
駆動パワーを最大限発揮した後に、リールに求められる性能は快適な操作性です。セルテートには最新テクノロジーで構成されるエアドライブデザインが搭載され、誰しもが精密構造の恩恵を得られる機構が組み込まれています。
エアドライブデザインは、アルミモノコックボディーと各セクションの最適な重量バランスからなる、軽やかな操作性に加え、ロッドとの一体感を得られる軽快な回転フィールは、わずかなバイトや水の動きを感じとれるほどの感度を有することが出来ます。ここでは、これらを生み出すエアドライブデザインのセクションごとの性能をチェックしていきます。
【エアドライブローター】
エアドライブローターの効能と設計段階から導き出されたデータは、物理法則から見る球体思想に端を発します。球体は、中心軸に対して重量配分が全方向対象で、運動バランスの保持と慣性力に対して最適な形状になります。
小難しい説明は抜きにすれば、要するに各種ボールの回転運動を想像すれば納得頂けると思います。軽い力で回転運動が加えられ、回転運動を止めたい時にはピンポイントに力を加えればよいわけです。この法則から、軽い力の回転運動と惰性を抑えた低イナーシャ（慣性運動）が実現し、余分なパーツを排除しながら理想な形状に整えることで、強く、速く、軽く、止まる、そしてトラブルレスが造形が仕上がることになります。
【エアドライブベール】
ローターへ付属される外装パーツであるベールにもダイワは拘りと質を求めています。ローターだけが軽量で低慣性であればよいわけではなく、接続されるベール重量を含めたトータルの運動性能も画策されています。
2024セルテートでは、ベール素材にはΦ2.4mmの中空パイプを採用し、ネジレや曲性に対して強固に造形することで、軽量、且つ強度の両面の性質を実現しています。そして、ベール下面をラインが這う傾斜角度に着目し、ラインローラーへのスムーズな誘導策も図られ、ライントラブルの抑制も実現しています。
【エアドライブスプール】
2024セルテートが、軽い巻き心地や巻き出しの軽さを更に突き詰めるには、ローターの回転運動の制御や形状・素材選定に加えて、スプールの上下動の効率化も求められてきます。また、ハイパフォーマンスなスピニングリールとしての風格を保ち、使い手の愛着を得ていくためにも、それに見合ったビジュアルも図っていかなければなりません。
エアドライブスプールは、軽量化された薄肉筐体と強度を兼備しながら、トータルのビジュアル感アップに貢献しています。また、リールそのものの自重を落としながら、上下スプール可動域のレスポンスアップに成功し、タックル装着時のバランス制御も獲得しています。
そして、ターゲットのヒット後、ファイト時に奏でられるドラグ音にも拘りを見せ、キリ溝の形状と方向に工夫を凝らし、五感に響くサウンドを堪能することも可能になっています。
【エアドライブシャフト】
エアドライブシャフトの滑らかで静粛な巻き心地は、もはやダイワハイパフォーマンススピニングリールの代名詞になっており、2024モデルのセルテートにも、先代モデルからしっかり継承されています。
エアドライブシャフトは、メインシャフトを支持する上下のカラーの加工を高精度化し、中空のピニオンギア（縦軸制御ギア）とのクリアランスの精度アップが画策され、より滑らかで静寂な回転性能を実現しています。
摩擦抵抗がゼロになることで、ノイズレス且つ軽い力でのリトリーブコントロールが可能になり、パワフルな巻取りと同時に、リトリーブ中の僅かな違和感を察しやすくなっています。
REAL ENDURANCE＝リアルエンデュランス
リアルエンデュランスとは、直訳すると本当の耐久力という意味を指します。この耐久力を長期に渡って維持していくために開発されたのがマグシールドです。このマグシールドは、磁性を持ったオイル（マグオイル）を、回転に関わる駆動域や、水や粉塵が付着しやすい外装駆動域に配置することによって、内部への水の浸入、或いは浸透を防いでいくダイワ独自の機構です。
マグシールド（マグオイル）を、ピニオン部とラインローラー部（FCはピニオン部のみ）に加え、ハンドル取り付け部にもしっかり施し、防水と耐腐食構造についても徹底的に強化されています。これによって、元より強さと耐久性を前面に押し出されるセルテートに、強力なバリア構造とコストパフォーマンスが加わり、アングラーが愛着をもって長期で使用されるモチベーションにも繋がってきます。
REAL CUSTOM＝リアルカスタム
基本設計が際立つ2024セルテートのラインナップは、フィネスフィッシングに特化したFC（フィネスカスタム）仕様も標準番手として5モデル展開されています。細分化されたラインナップ数は、釣りの特性に見合った適正な番手のチョイスが可能になり、守備範囲を利かせたご使用が可能になります。
また、2011年に発足したカスタムサービスブランド、SLP WORKSによるチューニングパーツのラインナップは、最新の2024セルテートを更に性能を高めた、自分好みの一台に仕上げられる遊び心も掻き立ててくれます。
ダイワスピニングリール最新最上位モデルの価格帯比較
リールを比較・検討していく上で、まずは気になる価格帯をダイワ上位モデルと比較していきましょう。大きさ別に2000番・2500番・4000番から、売れ筋の型番をピックアップし、定価(本体価格）と実売価格で比較していきます。
【定価（本体価格）】
| 番手 | LT2000S-H | LT2500S | LT5000-CXH | ダイワ WEBページリンク |
| 22イグジスト | ￥102000 | ￥103000 | ￥110000 | イグジストWEBページ |
| 23エアリティ | ￥63500 | ￥64000 | ￥68000（D） | エアリティWEBページ |
| 24セルテート | ￥54600（FC） | ￥55600（FC） | ￥61600（D） | セルテートWEBページ |
| イグジストと セルテートの価格差 | ￥38500 | ￥39000 | ￥42000 | |
| エアリティと セルテートの価格差 | ￥8900 | ￥8400 | ￥6400 |
【実売価格（Amazon売価）3/17現在】
| 番手 | LT2000S-H | LT2500S | LT5000-CXH |
| 22イグジスト | ￥80569 | ￥82864 | ￥87014 |
| 23エアリティ | ￥51687 | ￥53000 | ￥53300（D） |
| 24セルテート | ￥46845（FC） | ￥45000（FC） | ￥47800（D） |
| イグジストと セルテートの価格差 | ￥33724 | ￥37864 | ￥39214 |
| エアリティと セルテートの価格差 | ￥4842 | ￥8000 | ￥5500 |
2024セルテートとイグジストを実売価格でそれぞれを比較すると、どの型番を見ても、中間グレードの新型スピニングリールが1機購入できるほどの価格の際（開き）が見られます。また、2024セルテートとエアリティの売価比較では、上位グレードのPEラインを2回購入できる程度の開きがあります。
高価なフィッシングアイテムを購入検討する場合、上位グレードとの価格の開きをどう考えるか、タックルの揃え方や合わせ方、価格差≒機能性をご自身の経験値と使用頻度を照合しながら、お財布事情とも相談が必要になってくるでしょう。
番手形式から見る2024セルテートの活用
2000番から5000番まで、今モデルも上下左右に15モデルと幅広くラインナップされる2024セルテートですが、それぞれの番手に適した釣種や釣り方を見ていきましょう。番手を比較して、前後の使用領域にオーバーラップさせたチョイスが出来れば、複数種のターゲットやフィールドで、応用性を利かせた使用が可能になってきます。
2000番サイズ
2024セルテートの2000番サイズは、フィネスカスタムが施される、ハイギアとパワーギアの2モデルがラインナップされます。1サイクルで76cmの高速巻き取りが可能になるハイギア。巻きが軽く、小型のメインギアであっても巻き上げに十分なパワーを保持するパワーギア。当番手が得意とする釣りに適合できる2モデルです。
【淡水域の釣り】
渓流域や源流域のイワナやヤマメのトラウト釣り、湖沼域のフィネスタックルでのバス釣りに適しています。本流域から河口域では、ハゼのルアー釣りからエサ釣りまで、ライトに繊細に狙っていく釣りに幅広くご使用いただけます。
【海水域の釣り】
アジングやメバリングを主体にした、ライトソルトゲームからライトロックゲームに適しています。
特にスローにアピールしたいアジングにはパワーギアが高適正になり、管理釣り場でのエリアトラウト釣りにもベストマッチします。
2500番サイズ
2500番サイズには5モデルがラインナップ。フィネスカスタムモデルから、シャロースプール仕様のLT2500S、シャロースプール仕様にエクストラハイギアが載るLT2500S-XH、シャロースプール仕様にダブルハンドルがセットされるLT2500S-DH。標準番手からは、ノーマルギアのLT2500，ハイギアが載るLT2500-Hがそれぞれラインナップされています。
【淡水域の釣り】
2500Sはバス釣り用のスタンダードモデルとしてラインップされ、多くのバス釣りメソッドに活かせます。渓流域から下流側の清流域をメインフィールドにする、トラウト狙いにもギアサイズ・パワーがマッチするでしょう。
【海水域の釣り】
LT2500S-DHはまさにエギング専用モデルにラインナップされます。LT2500・LT2500-Hは、アイナメやカサゴ・クロソイを狙ったライトロックゲームや穴釣りなど、ハイスピードの巻取り性能をを活かした釣りに適しています。
3000番サイズ
3000番サイズには、コンパクトサイズにハイギアが搭載されるLT3000-CH、ノーマル3000番のLT3000、エクストラハイギアのLT3000-XHがラインナップされ、使用範囲が広い3000番の領域をカバーしています。
【淡水域の釣り】
本流域でのサクラマスや大型トラウト狙い、都市型河川や水路・河口域を撃って行くシーバス釣りやチニングゲーム、湖沼でのレイクジギングなど、淡水域の中でも、パワー溢れる大型クラスの魚種との対峙に適しています。
【海水域の釣り】
幅広いソルトゲームに追従する3000番は、遠投を基本にするスーパーライトショアジギングや、サーフ・干潟でのシーバス狙い、根魚を狙うロックフィッシュゲームなど、ギア比をゲームに合わせていくことで、広域に渡る使い方が可能です。
4000番サイズ
幅広い釣りに多用される4000番モデルは、各種の釣りに合わせて、コンパクトモデルとエクストラハイギアモデルからチョイス頂けます。LT4000-CとLT4000-CXH、双方の巻き取りスピードに適した巻物の釣りや、重量ルアーやリグを多用する釣りに合わせていきましょう。
【淡水域の釣り】
本流域や湖沼を広範囲に遠投で狙うサクラマス釣り、ベイトを追って河川中流域まで遡上する大型シーバスとの対峙など、筐体の剛性とギアパワーを活かしたファイトが楽しめ、多くの釣りに適性の高さを見せてくれます。
【海水域の釣り】
ライトショアジギングやサーフでのルアー釣りなど、遠投性能を必要としながら、強烈な引き込みを見せる大型魚種に対し、バーサタイル性高く立ち回れるのが4000番モデル。ギア比を加味しながら、各種大物釣りに幅広くご使用いただけます。
5000番サイズ
5000番モデルでは、ディープスプール仕様のLT5000D、エクストラハイギア搭載のLT5000D-XH、コンパクトサイズのLT5000D-CXHがラインナップ。ショア（岸釣り）の釣りだけでなく、オフショア（沖釣り）の釣りにも対応可能な巻き上げパワーと剛性を保持します。5000番サイズにはEVAラウンドライトノブも搭載され、パワー溢れる釣法に適した番手サイズです。
【淡水域の釣り】
本流域や湖沼をメインフィールドにするアングラー様でもMAXサイズとして使用可能です。淡水域では少々キャパオーバーの番手ですが使えないわけではありません。手返しや操作性においては4000番以下のモデルのチョイスをおすすめします。
【海水域の釣り】
各種フィールドで大型青物を狙うライトショアジギング、サーフからのヒラメや大型シーバス狙いなど、ランカーサイズのヒットが想定される釣りにおすすめの番手です。オフショアジギングやキャスティング、大型ヒットの確率の高い、生き餌を使った泳がせ釣りやぶっこみ釣りにも適正高く使用出来ますので、この番手を保持しておけば、多方面の海釣りで活躍してくれます。
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今記事のまとめ
今回の記事では、2024年モデルのセルテートについてのインプレッションと、搭載機能や性能分析について纏めてきました。
今記事では、
①2024年セルテートに搭載される主力最新技術とREAL FOURの解説
②ダイワスピニングリール最新最上位モデルの価格帯比較
③番手形式から見る2024セルテートの活用
として纏めてまいりました。
以上をご参考になって頂き、2024年モデルのセルテートを見極めていただければと思います。
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